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女子力の鎖―ゴッドタン・あいなに寄せて

by ライスには塩を


女子力とは、いったい何なのか。

「男をときめかせる」

定義は様々あろうが、このスキルに尽きると私は思う。ほっこり家庭料理が上手なら、女子力は高い。男がときめくからだ。誇り高き美女は、女子力が低い。男が引いてときめかないからだ。

気遣い、美容、ファッション…あらゆる面において、日本では女子力が崇められている。あるときは意識的に、またあるときは根深い無意識のなかで。

女子力という鎖を断ち切るのは、この国ではとても難しい。

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軽々と女子力から解き放たれている人を、最近見つけた。

ゴッドタンという深夜番組をご存知だろうか?レギュラー出演者は、おぎやはぎ/劇団ひとり/バナナマン。ちょっとイッちゃってる、テレビ東京のはっちゃけたバラエティ番組である。

ゴッドタンには、「マジギライ1/5」というゲーム企画がある。ルールは以下のとおり。

ここに、キャバ嬢のあいなという女の子がかつて、出ていたのだ。

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マジギライ1/5には、水着でオッパイぷるんなアイドルも複数出演する。彼女らは芸人を罵るが、「キモい」「優しくない」程度で非常に生ぬるい。エロを求めない視聴者としては、面白くもなんともない。

その点、あいなは全く違う。

あいなは躊躇せず、キッツい下ネタを飛ばしまくる。身も蓋もないレベル、女子力なんかクソ食らえだ。笑いのセンスはともかく天下一品、天才肌といっていい。無類のお笑い好きで、TVブロスのライターか?っていうくらい詳しい。加えて鋭い洞察力まで持っている。

まるで、笑いの神がつかわした天使。

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ところで小木(おぎやはぎ)および有吉(元・猿岩石)は、こういう口喧嘩のような仕事だと活躍しやすい。なぜか?

女子力を完全に馬鹿にしている

からである。アイドルたちの女子力PRを、二人は容赦なく叩きのめす。崇めない(欲望の的にはしていて、それがまた最低)。それが最もダメージを与えられる攻撃であることを、彼らは熟知しているのだ。

小木は第一回マジギライで、あいなに対しても同じ手を使っている。やりとりを思い出して引用してみよう。

小木:お前、どうした?かわいくないって言われたから、ちょっと落ち込んでるのか?なんだよ

あいな:うるせえよ!そんなくだらないことで落ち込まないよ!

小木:そうだな、慣れてるもんな。(キャバクラで)指名もないだろうしな、ないんだろ?

あいな:うるせえよ、ちょびヒゲ!!!


うるせえよ、ちょびヒゲ!?

…私はこのとき、ちょっと感動した。

あいなは「かわいくない」と言われたことを、心底「くだらない」と捉えているように見えた。かわいいことが最重要ともいえるキャバ嬢なのに、だ。

そして、持ち前のセンスで状況を爆笑に巻き込み、ひっくり返した。小木はヒゲを生やしたことなど無い。でもちょびヒゲって感じ、彼はすごくするでしょう?小木はたじたじになってしまい、あいなをぶちのめすまでに至らなかった。

あいなはマジギライ1/5企画のレギュラーになる。他のアイドルたちがくるくると入れ替わる中、不動の地位を築いていく。

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女子力のすべてを否定したいわけではない。

でも、女子力ばっかり崇めるのも何か違うような気がする。女性はさまざまなポテンシャルを秘めているのだ。もっと掘り起こせるはずなのだ。女子力はあって当然・大原則なんて風潮は、やっぱりくだらねーんじゃないかな、と。だって、世の中がぜんぜん面白くないよ、実際。

録画されたゴッドタンを見返すたび、そう思ってしまう私なのである。


ライスには塩を
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